これがアトツギ経営者には、最も難しい事かもしれません。言い換えると「タイミングを計る」という事になりますが、私も未だにこの忍耐力は弱いところです。今回は「待つ」についてのお話です。
【お知らせ】
私が登壇し事業承継の体験談をお話させて頂きましたセミナーのアーカイブ映像が公開されました。大変な好評を頂いたセミナーです。事業承継に係る方は、お時間ございます時にご覧ください。
私の基調講演(約1時間):https://youtu.be/ByoTcpBqZc0?t=347
アトツギ経営者とのQ&Aセッション(約30分):https://youtu.be/ByoTcpBqZc0?t=4985
タイミングの重要性
さまざまな経営書籍で語られている事ですが、商売は全てタイミングです。焦って事を急ぐと、思うような結果は得られない。でも、我慢できないのが人間の性です。後継者に関係する「待つ」は以下のような事があります。
リーダーシップを発揮するタイミング
会社の方向性を大幅に変える
組織を変更し、新しいチームを作る
社内の規則、ルールを変える
新規事業への着手
これらは、全てタイミングがとても重要な事柄です。「待つ」という事に耐え、最も良いタイミングで乗り出す。この「待ち」を見誤ると痛い目に遭う。
人との距離を詰めるのもタイミングはとても重要です。
商談相手に限らず、アトツギ経営者の場合は、社員との距離を詰めるタイミングがあります。人間関係が構築されるのを待たず、いきなりリーダーシップを発揮すると失敗する。
新規事業に至っては、「待つ」だけでなく「早める」という真逆のことも求められることもあり、非常に難しいです。
また、先代の意向をくみつつ、自分のカラーを出していくことも難しい事です。これに関しても「待つ」という忍耐力が必要です。アトツギの皆さんなら分かるはず。
なぜ、アトツギは待てないのか?
一つは、わかりやすいのですが、焦りです。一刻も早く、経営者としての実績、実力を示したいという使命感、欲求により待つことを忘れ、突っ走り、タイミングを外す。
これは、わかりやすい原因です。私の経験から思い当たる原因がもう一つあります。それは、己の実力をわかっていない事です。言い換えるなら「身の程知らず」という事です。どれだけ社会人経験として、他社で仕事をバリバリやってきた実績があったとしても、経営者というのはサラリーマンとは全く異質のものです。
サラリーマン時代、全くダメだった人が家業の会社を引継ぎ、うまく経営する事もあります。常識的に考えると、不思議な話ですが、これは組織で目立たなかった存在の人でも、周りを良く見渡し、タイミングを見計らっていたが、そのタイミングが到達する前にサラリーマン時代を終えている人もいると考えられます。何もしなかったのではなく、戦略的に動かなかったという事もあるからです。静かな人は、目立つ人より、観察力に優れている事もあり、実はタイミングを計ることが上手い人もいます。
なので、サラリーマン時代に活躍していなかった人でも、経営者になった後、成果を上げる人もいるんだろうと思います。こういうタイプの人は、忍耐力が高く冷静です。
じゃあ、どうすれば「待てる」ようになるか?
実践的な方法ですが、私の場合は、何かやりたい事があったら、そのことが最も効果的に進めれる条件を始める前に書き出していました。つまり、「この条件が整えば上手くいく=必要条件」という事をあらかじめ自分で整理し、書き出して、今の状態と理想の状態を比較するわけです。そして、満たしていない条件があれば、まずは、その条件を満たせるように、そこから着手するようにします。
このような優先順位付けが、失敗を回避する一つの対策となります。
但し、この条件を整える間、商売であれば市況が変ってくるので、全て自分のペースで事が進めれるとは限りません。常に市況、顧客のニーズ、顧客の都合に目配りしながら、判断していく必要があります。でも、これをやらないと、出たとこ勝負になるので、大体失敗します。
アトツギが新規事業に失敗する原因の一つは、これなんだろうと思います。
本丸に着する前に、外堀を埋める地ならしが必ず必要になるのですが、そのステップを飛び越して本丸に乗り込むと、やられます。。。恋愛でも同じですよね。焦って猛アタックしても嫌われるだけです。
私も今、このランナーズという会社を立ち上げて、まさに「待つ」の苦しみを味わっている最中です。しかし、ここで焦って無理に受注を狙って動くといい結果にはならないとわかっているので、今は精一杯自分を抑え、力を蓄えているところです。
仕事だけでなく、人生は何事もタイミングを合わせる戦略的な「待ち」が重要なのです。
終わり
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