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執筆者の写真Takeshi Sekine

兄弟経営が上手くいかない、困った。どうしよう?

更新日:10月21日


 会社に入るまでは、兄弟仲良く助けあってきた。でも、会社に入ってしばらくすると話す事もなくなるまで関係性が悪くなった・・・このままでは、会社が空中分解してしまう。

よく耳にする話です。昔は兄弟仲が良かったのに、なぜ関係性がおかしくなるのかについて解説します。

兄弟経営が上手くいかない



兄弟経営が上手くいかない根本原因

 パターンとしては、いくつかありますが、最も揉めるパターンについて解説します。


(最強に揉めるパターン)

兄弟の年齢差が小さく、経営者としての力量も大差ない



このパターンが最も厄介なケースです。年齢差としては5歳未満で、学歴も大きな差はない。年長の子供は、子供のころから仕切り役として育っています。なので、会社で一緒に働くとしても自然と仕切り役の行動をとり始めます。


年長の子供としては、自然の行動であり周囲に対する配慮などは考えない。当然の成り行きとして仕事に邁進していきます。


一方、年下の子供としては、子供のころから年長の兄弟に仕切られ、家庭の中ではリーダー役になることはなく、常に年長の兄弟に対して気遣いしながら生きてきています。


年下の子供からしますと「なんで自分だけが従う側?」という気持ちがどうしても根底にはあります。実力差も大差ないのに、年長の子供は自動的にリーダー役を任されていく。このままでは、自分は一生、年長の兄弟から指示される側の日々が続く事になる。こんな理不尽な話があってたまるか!・・・という感情が芽生えてきます。


そして、いつしか仕事で張り合うようになってくる。・・・

これが典型的なパターンです。年長の子供からしますと、年下の子供が実力をつけてくると「負けちゃいけない」という競争心も出てくる。こうなると、完全に戦闘モードへスイッチが切り替わってしまいます。


とはいえ、意外と年上の子供というのは、あんまり年下の子供に対して脅威や競争心を持たないケースもあります。それどころか、年長の兄弟はいつまでも兄弟は確固たる信頼関係があり、何かあれば年下の兄弟は自分を助けてくれる存在だと信じ込んでいる。


しかし・・・・世の中、そんな美談ばかりではないというのが現実です。



そもそも、経営者の子供たちというのは、リーダーである親の姿を見て育ってきているので、基本的にリーダーを目指そうするDNAが確実にあるんですね。  


本能には抗えない。これが悲しい現実であり、根本的な原因でもあります。




意識の違い

 仕事上での競争が始まると、お互いの足を引っ張るような行動がみられるようになります。しかし、兄弟間での意識はまるで違うのです。


【年長の子供の意識】

仮に年下の兄弟が、仕事で張り合い始めたとします。そうすると、年上の子供は兄弟から「

裏切られた・・・」という感情を抱きます。なぜなら、前述した通り、年下との兄弟の間には絶対的な信頼関係が成り立っており、下の兄弟は年上の自分に対していかなる場面でも支えてくれることが約束されていると考えているからです。


このような考え方・意識が、年長の子供にはあるので「裏切られた」という感情が沸いてくるのです。



【年下の子供の意識】

年下の子供は、感情で物事を判断せず、冷静で合理的な考え方をする人が多いように思います。仕事上で年上の兄弟の仕事ぶり、経営者としての力量不足を感じた時、冷静に考えると「自分のアイデアの方が優れてい」と考えることもあります。しかし、まともに年長の兄弟に話を持ち掛けても却下されるか、強引に従う事を求められる。「正面突破は不利だな」という考えを持つようになり、自分の意見を通すために周囲を巻き込んで徐々に体制を固めていくようになる。常に反撃の機会を探しているという表現が正しいのかもしれません。


年長の子供と違って「裏切り」という発想・意識は全くありません。合理的な判断だと考えているはずです。兄・姉より自分の方が経営者としての能力が高い。であるならば、自分が兄・姉に代わって仕切り役に就く方が会社にとっても良い事であり、合理的だと考える。


まとめると、「裏切り」ではなく「合理的」と考えているのです。

年上の兄弟は、このような合理的な考え方をせず「自分の立場を狙っている」くらいにしか考えない・・・これが、対立の構図です。


 ここまで亀裂が生じてしまうと、もはや当事者間での問題解決は難しいと思います。ただ、1つ言えることは、どちらも自分の事だけを考えているのではなく、会社の事を考えており、考え方の違いがあるだけなのですが、感情が入ってくると泥沼の世界になっていく。


稀に、年下の子供が年長の兄弟に対して、ただ単に嫉妬や恨みを募らせて足を引っ張るということもあり得ます。このような場合は、年下の子供の打ち手が、より巧妙で「汚いやり方」をしてくる場合もあるので、争いが泥沼化してしまいます。残念ですが、これは避けられない。



せっかく優秀な子供たちが揃っているのに、考え方の違いがあるが故に会社が混乱していくのは、とても勿体ない話ですよね。何より迷惑なのは社員です。兄弟げんかは会社の外でやってくれと思っているハズ・・・


兄弟経営が上手くいかない背景にはこんな事情があるんです。


回避策は?

 時々、お客様である社長さんに質問を受けるのですが「兄弟を会社に入れて良いものか?」


私の回答は、間違いなく「No」です。


会社に複数人の子供を入れた時点で揉めることを覚悟しなければならない。「それでも良いのなら入れてください」という話をします。


そもそも「複数人の子供を会社へ入れない」これが現実的な回避策です。




既に複数人の子供が入っているとしたら、どうするか?

 一律に言える打ち手はないのですが、親である現社長が兄弟間の関係、力量差をよく観察して早い段階で次期社長を指名することです。なるべく早く。


こうしないと確実に揉める。


よくあるのが、会社を分割して兄弟に分けるような事をする場合もありますが、これは根本的な解決策にはなりません。争うリングが同一社内から会社同士の争いになるだけで、結局は協力しあえる関係にはなりません。


厳しいようですが、経営者としての力量が高い子供を1人選び、力が及ばない子供は十分な対価を与えて独立させることが個人的には良いと思います。


一つの選択肢として、M&Aによって会社を取得し、後継者にならない子供へ渡すという手段も考えられます。この際、どの会社を買うかの意思決定には、必ず出ていく子供を関与させて自分で選ばせることが大事です。勝手に買収して、渡すのはNG。必ず反発しますし、出ていく本人も気持ち良く出ることができない。


自分で選んだ会社でなければ、気持ちが入らない。



ということで、兄弟が社内に複数いる環境というのは過酷な状況なのですが、親の立場からすると「兄弟仲良くできる」という現実離れした「理想論」が家族を分断してしまう事になりかねません。


兄弟で同じ会社に勤めることになる場合は、慎重に将来の事を考えて意思決定してください。





以上、ランナーズ関根でした。



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