会社を継いだ後、数字は何を見るべきか悩むと思います。
経営状態を把握する上で、注視すべき指標の見つけ方に関するお話。
あなたは、自分用の経営ダッシュボードを持ってますか?
=毎日、どんな数字を見てますか?
私の場合、先代社長から一切引継ぎがない状態で社長に就任しましたので、会社の経営状態を知るための指標が分かりませんでした。それまで毎月の損益計算書、貸借対照表は経理部から受け取っていましたが、実際にやってみると分かるのですが、この標準的な財務諸表では社長として会社の状態を把握できる資料になってないのです。
しばらくPL,BSを眺め続けると気付くのですが、会社の経営状態を先読みするにはPL、BSでは不十分というか適切ではないんです。会社によってチェックすべき数値は違うと思いますが、粗利は殆どの会社で重視されている数値ですが、当社の場合、製造業という業種なので付加価値を出す仕事をどれだけ受注できているか監視する必要があります。同じ売上、粗利金額でも、どの分野の仕事から入ってきている数字なのかが重要でした。
そこで、私は経営企画の社員にも手伝ってもらい、自分が見たい数値が一瞥できるExcelシートを作りました。これは、PL、BSの元になるデータを集計して表とグラフを表示させているもので、このシートを見れば会社の今と今後の見通しを予測できる便利なシートです。私はこれを「経営ダッシュボード」と呼んでいます。経営に必要な計器類という意味です。
経営企画の社員が、数値をメンテナンスしてくれるので最新情報を見れるようになっています。今後、自動化しないとダメですが。。。
□自分たちで作った経営ダッシュボード
こういうツールは、その辺で売っている物でもありませんし、おそらく先代社長が教えてくれるようなものでもないと思います。経営者が変れば、注目する数値も変わったりします。
私の場合は、必要に駆られてこのツールを作りましたが、これを作ってからは、会社の状態を把握する事が容易、且つ正確にできるようになりました。事業が多角化しているような大企業であれば簡単にできる話ではないですが、事業数が5事業未満で売上規模で100億未満程度の会社であれば、おそらく私が作ったようなツールで十分いけるような気はします。
【重視する数値は自分で決める】
これは、とても大事な事だと思います。人によっては先代社長から教えてもらえる人もいるでしょう。経理担当、あるいは経理事務所の税理士から教えてもらう事もあるでしょう。でも、自分で決めた方が絶対に良い。その指標を見つけ出すまでの過程で、いろいろ数字を勉強する事になるんです。その結果「あー、これは俺にとって重要な指標だな」と答えが見えてくる。人に教えてもらえば簡単ですが、自分なりの視点で自社をどう見るか考えるプロセスは経営者としてはすごく重要な事ではないかと思います。なので...
私が提供するコンサルティングでは必ずこの指標を見つけ出す支援を行う予定です。私が教えるのではなく、アトツギ経営者が自分で見出せるように支援していきます。
【経営者が変れば、見る数字も変わる】
的外れの数値を見るな!
先代の経営者が見ていた数値項目を追い続ける事は、勿論やるべきです。
大事な事は、なぜ?その数値を見てきたのかという理由・目的です。
経営者がアトツギに変わりますと、当然ながら先代経営者とは違うところに目が行くもの。その結果、あらたな経営課題も見えてきます。そこで、アトツギ経営者は先代が見ていた数値項目に加え、自分が気になる数値を監視項目に加えていく。実は、ただこれだけなんですが、これがうまく出来ない。
なぜ出来ないか?
それは、アトツギが社長になると今まで気になっていた事を片っ端から解決しようと動き始める。さまざまな事が気になる。しかし、得てして気になる個所というのは、非常に細かい事だったりします。細かい事に気づくのは良い事なのですが、全体を見渡した時に、その問題を解決する事が優先順位として適切がどうかという問題が出てきます。
また、数値というのは好きな人でない限り、後回しにされるのも現実の話。
そうなると、本来、真っ先に取り組まなければならない問題が棚座りになる。。。
これが、出来ない理由の典型的なパターンです。こうなると、木を見て森を見ずの状態になる。数字の指標を選ぶ際にも同じことが言えます。会社の状態を把握する上で、細かいところを見すぎると、枝の数字にばかり目が向かってしまい、問題の根っこを示す数字に気づかず素通りしてしまう。
どうすればできるのか?
これは、文書で表すことはちょっと難しいのですが、私の場合、PL、BSの数字を細かく分解し、最終的な数値として決算書に出てくるまでに、他の数字(=科目)が与える影響を調べていました。気になる数字が、受注から入金までの過程で、どのように生じてくるのか、どんな数値(=科目)が影響を及ぼしているのか、そのプロセスや構造を把握します。これができるようになると、
問題となる数字が、どのようにして生まれてくるのか分かるようになってきます。
ここまでくれば、あとは、その気になる数字を生じさせるのに関連するさらなる監視項目を拾い出し、最も影響度の大きい数値を選ぶ。そして、経営ダッシュボードに組み入れていく。大事な事は、数字が出てくるまでの過程を理解する事。この点をわかってくると、業務上の課題も分かってくるので、現場に対しても問題点を共有し、なぜ問題なのか適切に説明し、改善に向けた対策ができるようになります。
正直、簡単ではないです。自分の会社のことを良く理解できていないと、これは出来ない。
また、最初から的を得た数値項目を見つけられるとも限らないので、最初は何度か数値を選んで追い続け、自分が知りたい情報がちゃんと示されるかどうか、検証していく必要があります。地道な作業なんですよ。でも、これが分かってくると、経営の面白さが分かってくると思います。
アトツギは、重視する数値を自分で決める
これ、すっごく重要です。
終わり
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