世代交代が行われた直後、殆どのアトツギ経営者はやる気に満ちていると思います。
しかし、気を付けないといけない事が。。。
今回は、「誘惑」という罠に陥らないための防御についてのお話となります。
私も全くなかったわけではありませんが、社長に交代した後、いろんな事にチャレンジしたいという気持ちはありました。その気持ちが、良い方向に向かえばいいのですが、間違えると危険な目に遭います。やはり、社長というのは社内では絶大な権力を持つこととなり、自分のやりたいように周りが動いてしまうというのも現実の話。
しかし、そんな時、自分自身で気を付けるのと同時に、自分を制止してくれる役員、参謀、番頭の存在はとても重要です。どのような「誘惑」があるのか、以下にご紹介いたします。
襲ってくる「誘惑」
1:もう俺の自由にさせてくれ。。。と、「先代との対話」を避ける
2:「俺流」に走る=性急に自分の色を出そうとする
3:新規事業への着手(必ずしも、悪いわけではありません)
4:ビジネスモデルの急激な変更
5:経営理念の策定、変更
6:社内規定の大胆な改定
7:組織・体制の大幅な変更
8:企業価値に直結しない不要不急の投資
9:社名、ブランド、ロゴの変更
10:オフィスの改装
11:ウェブサイトの大幅リニューアル
12:不要不急な買い物(例:社長専用の高級社用車)
13:メディアへの積極的な露出
14:周が引いてしまう程の「俺すごいんだぞ」アピール
15:人との面談で、一方的に自分の話をし始める、人の話を遮る
などなど。。。
上記は、すべて不適切という訳ではなく、その企業の状況に応じて必要な事もあります。しかし、考えておくべきことは準備にどれだけ手間をかけているか、熟考しているかという点です。勢い、ノリでやってしまうと足元をすくわれます。
まずは、企業価値向上に直結する事を優先しよう
社長になったら、基本的に何をやっても構いませんが、全ては自己責任。自分の舵取り次第で顧客、取引先、社員、そして社員の家族が影響を受ける。そのことを肝に銘じて何をしていくか、優先順位を決めていかなければなりません。特に業績の良い会社を引継いだ場合は、資金的に余裕があるので、いろいろ出来てしまう。だからこそ、気を付けないと。
判断のよりどころは「この投資・施策は、企業価値に直結するか?」を問うてください。
これを中心において、最初は決断していけば大きな判断ミスをしてしまう事はないでしょう。アトツギは、まだまだ社長としてのスキル、経験が無い。そのことを自覚し、慎重に会社のお金を使い、仕組みを変えていく場合も、メリット、やりたい事だけに目を向けるのではなく、そもそもの狙い、実行した場合に「企業価値が上がるか?」について考えてみてください。
ちなみに、私の場合はどうだったかと言いますと、、、
幸い、私は大きな失敗を起こすことはありませんでした。「企業価値直結」、「今必要か?」という事を常に考えていました。また最初から調子こいてしまうと、社員の心を掴めないという事も考えていました。
会社は、何事も実行するのは社員であり、その社員が本気で取り組んでくれるような状況が出来上がっていなければ、良い結果は出せません。当時は、社員と自分の関係性は、まだそのレベルに達していないと考えていましたので、無理はしませんでした。派手な事はせず、経営の土台となるインフラ構築をコツコツやっていたというのが私のやり方でした。
アトツギの皆さんにお伝えしたいこと#9
「誘惑」から自分を守るための「ファイアウォール」を構築しよう。ファイアウォールは、自分の意識だけでなく、前途したように自分を支え、諭してくれる参謀の存在も大変重要です。これら含めて「ファイアウォール」です。
ファイアウォールは、他人からもらえるものではない。
自分で築くしかないのです。
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