経営者、マネージャーの皆さんは日々、部下をどう育てていくか悩んだりされていると思います。私も今まで苦労してきました。やっていく中で重要なポイントがありますので、今回はその重要事項についてご紹介します。
手本を見せる派?
昭和時代の企業では「上司のやり方を見て覚える」これが最もオーソドックスな手法でした。私自身も当時は何の疑いもなく、上司のやっている事を観察し、指摘されたことを忠実にこなす部下でした。いや、忠実でもないか。。。
あるいは、上司が部下の問題点を時々指摘してあげて失敗しないように手ほどき(=説教
をする。ま、この方法でも人が育たないわけではありませんが、教育を受ける側の理解度は浅く応用力も高まらないです。
皆さんは、どうですか?
部下に手本を見せるやり方をしてますか?今でも場合によっては、私も時々使ってはいますが、主力の指導方法としては使っていないです。
そもそも、デキの良い部下ってどんな人?
会社では入社直後から新人研修、〇〇研修とさまざまな教育制度を会社が用意して知識を習得させるべくトレーニングをやっています。
でも、どうでしょう? 目覚しい成果を上げた研修って記憶にあります?
私も教わる側として膨大な数の研修に参加してきましたが、今まで受講した研修の中で「役に立ったな」と思うのは「マインドマップ」のような汎用的なツール、フレームワークの研修くらいで営業研修的なものは記憶に残っていません。
受け手側からすると、そんなものなのかもしれません。一方で、仕事をやりながら覚えていくOJTですが、正直なところ仕事のできる先輩、上司が指導役の場合は勉強になりますが、そうでない場合は手足として使われて研修期間が終わってしまいます。
初期段階では、部下が仕事ができない理由はシンプルに、やるべきことを理解していない事が大きな要因です。では、やるべきことを徹底的に教え込む研修ができたとしたらどうでしょうか?
戦闘力がゼロ近かったものが、80-90%くらいの戦闘レベルには引き上げられるかもしれません。飲み込みの速い社員であれば、かなり成長すると思います。
ただし、やるべきことを体系化して全て教え込むというのは無理な話です。どうしても研修では代表的なパターンを教えスキルの土台を構築するまでが精いっぱい。
皆さんが部下に求める「デキル!」って、この上のレベルですよね?期待値を超える部下。
標準的な仕事をこなせる人を「デキル!」とは評価しませんよね?会社を運営していく上では標準的な業務をこなせる人材は絶対に必要なので大事な存在ではありますが、組織のパフォーマンスを更に高めるためには、より「デキル!」社員が欲しい。
まとめると、「デキル!」と評価される人材というのは平均点を大幅に超える結果を出せる社員ですよね?
平均点社員と「デキル!人材」の違いは?
知識の差ですか? 経験量の違いですか? それとも地頭の良さの違いですか?
私の経験上で感じている事は「気づき力」の違いにあると思っています。一般的な言葉で表現するなら「気が利くタイプ」とでも表現するのかもしれませんが。
私が思うに、自分自身の内部に向けた「気づき力」が高い人は仕事できるタイプではないかと思っています。周りを観察して臨機応変に動ける「気づき」と似て非なるものです。
できる人の特徴として「あ、これは自分に足りていない、わかっていなかった」という自分の内面に関する「気づき力」の高い人は、どんどんと成長していきます。
しかし、この「気づき力」が弱い人というのはインプットされている知識以外の応用が全くできません。DBに格納されている情報や知識で解決できない問題に直面すると止まってしまいます。これが、平均点社員と「デキル!社員」との大きな相違点です。
なので、「デキル!社員」を育てたかったら「気づき力」を鍛えることが重要になります。
どうやって鍛えるか?
これも私の経験上の話ですが、集合研修では「気づき力」を鍛えることはかなり難しいです。本人が直面してる問題・課題について自ら「気づく経験」を数多くこなすことでしか鍛えられないような気がしています。
なので、私のコンサルティングでは正解のヒントを出すのではなく、「気づき」のヒントを出すことに徹底しています。おそらく部下の育成が上手な管理職の方は、このタイプの方が多いのではないでしょうか?
ヒントと云っても、ズバリ「欠けている事」を教えちゃダメなんです。その欠けている事に気づけるような「良質な質問」を問いかけるのです。この「質問力」は上司側としては、人を育てるスキルが高いか低いかではっきりした違いがあるはずです。
どうでしょう? あなた自身は良質な問いを繰り出せる「質問力」持ってます?
会社では、社長が末端の部下を一人一人育てていく事は現実問題として難しいです。そのため、もしあなたが社長であるならば部門を統括する管理職に対して「良質な問い」を投げかけ続ける事が大事。但し、詰問のような「問い詰め」はダメっすよ。
あくまでも、寄り添う姿勢・態度で優しく「気づき」を促す問いを投げ続ける。
管理職の「気づき力」が高まったら、管理職もどうやって部下を育てればよいのか自分の成功体験から学習し、部下に対しても同じように「良質な問い」によって部下の「気づき」を促していくことでしょう。
人は「失敗からしか学べない」という諺がありますが、「自ら気づく」という体験がなければ育たないのです。部下に考えて、考えさせて「あ、これが足りない」という経験をさせるのです。そのためには、状況に応じて意図的に「失敗を許容し経験させる」ことも必要になってきます。
もともと地頭の良い人材は、この「気づき力」が自然と身に着いていて、よく気づくんですよ。だから基本から外れた仕事に直面しても乗り越えていけるんです。でも「気づき力」は生まれ持ったセンスではなく、後から十分に鍛えられるスキルです。
人から指摘されて気づいている間は、90点どまりの社員しか育ちません。「あ、そっか!」という気づきをいかに経験させることができるか?
これが今回、皆さんへお伝えしたかった要点です。
以上
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