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執筆者の写真Takeshi Sekine

「なぜ、田舎の中小企業では人が育たないのか?」

更新日:2022年1月25日

今回は、なぜ、日本の中小企業で人材が育ちにくいのかについてのお話。

中小企業と言っても、ベンチャー企業のような若い企業は別です。古くからある田舎の中小企業をイメージしてください。




中小企業の社長さんで「いやー、うちにはいい人材がいないんだよねー。」というボヤキ。

よく聞く話です。様々な書籍でも、このテーマは扱われていますが、私が思うに核心を突いた答えを書いている書籍は少ないと思います。


なぜ、田舎の中小企業で人が育たない?

さて、原因はどれでしょうか?

  1. 研修制度が整っていない

  2. 人への投資が不十分

  3. 教えれる社員がいない

  4. 忙しくて、それどころではない

  5. 経営者が社員教育に関心がない(=社員側も、研修は役に立たないと思っている)

  6. 研修をやっても、社員が本気でやってくれない


人材育成といっても、実務的な技能強化から管理職向けのマネジメント教育まで様々あると思います。しかし、一般的に人材育成という言葉からイメージされるのは「デキル社員」という事だと思います。おおざっぱに言いますと。上記の質問の答えは、全て正解といえば正解ですが、核心を突いた答えはありません。


私もサラリーマン時代に、山ほど研修を受けてきましたが、役になったなという研修って皆無です。私の場合、巨大企業にいましたので田舎の中小企業とはちょっと事情が異なりますが。


著名な講師を手配して研修をたくさんやったら、社員って成長すると思います?


私の答えは「ノー」です。



じゃあ、何が問題なのか?

経営者が社員に何を求めているか、どう使っているかに因ります。


簡単な話なんですが、どれだけ研修をやったとしても、社員がそれを生かせる環境で働いていなければ意味がないという事なんです。


田舎の中小企業の社長さん、特に60歳を超えている社長さんは苦労して会社を大きくしてきた人が大勢いらっしゃいます。創業社長であれば、余計に苦労されている。マネジメントスタイルとしては、トップダウン型が多いはずです。

トップは俺、決めるのは俺、指示を出すのは俺、そして社員は言われた事をキッチリこなして欲しい。


これなんですよ、最大の原因は。学校教育も似たようなもので、校則に従わない生徒は無理やり従わせる。追い込む。そうなると、社員・生徒は個性を引っ込めてミスをしないような思考、働き方に変わっていきます。


この環境で、人が育ちますか?

はい、無理ですね。


つまり、経営者が社員をどう見ているか、何を求めているのかが分かれ道です。社員から積極的に意見を引き出して、経営に参加させ、みんなで協力して会社を成長させていこうと考える経営者か、俺が会社を引っ張て行くんだという考えの経営者か、この違いが人材育成に大きく影響を及ぼします。どっちが正しいか、間違いかという理論ではなく、考え方の違いです。


今まで多くの田舎の経営者と会ってきましたが、社員と一緒に戦っている社長さんて殆ど見たことありません。感覚的には、「俺が面倒見てやってるんだ」という感じの人。確かに、創業社長であれば、実際にそういう側面はありますが、それをずっと続けると、間違いなく人が育つ環境にはならないと思います。


じゃあ、どうすれば人が育つようになるのか?


  1. まず、経営者が頭を切り替える。社員を一緒に戦う仲間としてみなす。

  2. 具体的には、現場への権限移譲を進める

  3. 失敗しても、十分な努力の上で結果が出なかった場合は、罰しない。再チャレンジの機会を与える。

つまり、社員が試行錯誤する余地を与えるという事です。創意工夫を試す余地を残す。一方、権限は渡すが責任の所在も明確にして、結果が出た時には会社として十分に報いる事も忘れない。



私が申し上げたいのは、研修とかの前に

「経営トップは、社員と戦友になれ」

なんです。


この前提がないと、どんだけ研修やっても本質的な効果は得られないです。

つまり、「デキル社員は育たない」という事です。


良く考えてみてください、どれだけトレーニング積んだとしても、いざ、現場に戻ったとき、今までと変わらず、ガンジガラメの規則があり、暗黙の「従え」圧力が残っていたとしたら、やりようがありませんよね?習得した事を試せないですよね?


こういう事なんです。


「あの社長は、人を育てられない」

こういう言葉を聞きますが、そうじゃないと思います。社員を兵隊、コマとして扱っている事が問題なんです。ま、それも含めて「人を育てられない」という事なのかもしれませんが。


なので、一つの方法としては、研修を受けたら、参加者の権限を増やすとか、今までできなかったことができるような環境変化とセットでやると効果あると思います。


また、私の持論の一つですが、「人は仕事からしか学べない」です。OFFJTやっても、知識は身に付くかもしれませんが、それが業務に即生かせるかどうかは?です。マネジメント層の上位になれば話は別ですが。



最後に、大手企業と中小企業の違いについてお話します。

大手企業と、田舎の中小企業の違い

人材育成という観点では、そもそも素材が違うというのは仕方ない現実です。

しかし、それが決定的な違いではありません。


違いは、組織支配者の影響力です。


大企業になればなるほど、現場と経営トップとの距離は離れていきます。つまり直接的な支配は薄くなります。その代わり、中間管理職というのが多段階に存在し、支配されることになりますが、経営トップは極論言えば、何でも自分で決めれますが、中間管理職は部下と同様に一定の権限の中で支配力を行使します。また、大企業になると仕事が細分化されて、いろんな職種や業務内容が存在します。種類が多い分、実は、一人の自己裁量って結構あったりします。田舎の中小企業で、ワンマン経営ですと、全く何も出来ない事も多いので、その点は違います。


なので、私の経験からも感じることは、大企業になればなるほど、絶対的な支配者の直接的な圧力が社員に及ばなくなるので、まだ社員が動き回れる余地があり、伸びる可能性があります。ただ、大企業でもパワハラ上司は山ほどいますので、私の考え通りにならない職場も多い事は事実です。


大企業、田舎の中小企業、双方で働いた経験を持つ私の見解としては、上記のようになります。大企業も、各マネージャーが部下を戦友とみなし、上手にやっている組織は人が育っているはずです。



まとめ

人を育てたいなら、まず経営者が変る。社員を戦友とみなし、権限を大幅に与える。

これを実行した上で、必要な研修を行っていく。


これが絶対ではありませんが、一つの解決策にはなり得ると思います。




終わり

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